2023年、新しい年が明けました。今年はどのような年になるでしょうか。引き続き子どもたちの安心・安全が守られる年にしなければなりません。
昨年末、カタールで開催されたワールドカップは世界中の人々が束の間のスポーツ祭典に熱狂しました。日本でも、代表チームが相次いで強豪国ドイツとスペインに勝利して決勝ラウンドに進んだ時には「久しぶりに元気のでるニュース」が列島をかけめぐり、多くの国民が歓喜しました。
しかし、国際社会でも日本でも、現実の世界では日々刻々と深刻な危機が進行しており、決して明るい年明けにはなってはいません。コロナ感染も決して下火になっていませんし、ウクライナでの戦争は、ますます泥沼化し犠牲者が増加しており、ロシアのミサイル攻撃によってライフラインを絶たれたウクライナ市民と子どもたちが極寒の中で苦闘しています。
ロシアの侵略戦争の影響は、東アジア情勢にも波及し、わが国では有事に備えて、抑止力を高めるために「敵基地攻撃能力(反撃力)」をもつための大軍拡が叫ばれ、5年間で43兆円の防衛費を賄うための大増税が画策されています。平和憲法を空文化して、日米軍事同盟の下で、米軍とともに戦争をできる国にしようというのです。しかも敵への先制攻撃をできる国への転換は、「専守防衛」を原則としてきた従来の政府の方針を大きく転換するものであり、戦争への危機の中に国民を投げ込むものです。また大軍拡のために不可欠となる大増税は、国民の生活と子どもたちの現在と未来に不幸と不安をもたらすだけです。
日本社会に必要な進路は、抑止力を高めるための大規模な軍備増強ではなく、日本国憲法9条を生かした平和外交によって、関係各国と対話し緊張を緩和することであり、絶対に「戦争を起こさせない」よう最善・最大の外交努力を尽くし、子どもたちの未来を安心、安全なものとすることです。日本子どもを守る会は、平和憲法と児童憲章・子どもの権利条約の精神に違反し、子どもたちの未来と現在の生活に多大な影響をもたらす大軍拡・大増税に断固反対し、子ども・子育て関連予算の増額こそを求めて、関係諸団体と共に子どものしあわせ実現の道を強く訴えていきます。
増山均(日本子どもを守る会会長)