新着情報・活動報告・声明などを掲載します

新年のごあいさつ

 2021年がスタートしました。
 年末年始、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、ワクチンの開発が進んでいるとはいえ、パンデミック状況は改善されていません。コロナ禍は、ヒトとヒトの深い結びつきによって発達してきた文化・社会それ自体を根源から突き崩しており、いま人類が直面している地球的・人類史的規模での危機に、知恵を出し合い、一国の枠を超えて全世界的に協力・協同して立ち向かわねばならない時です。
 イギリスでは、新たに出現した変異体の急拡大のためにロックアウト状態にあり、わが国でも首都圏に「緊急事態宣言」が発令されました。とても「新年おめでとうございます」とは言えない状況が続いています。

 いまだコロナ問題の収束への見通しが立たず、社会の経済状況の困難や、親の労働環境の不安定さ、親の在宅時間が長くなったなかで、子どもへの虐待やDVの発生件数が増えるなど、新たな問題が顕在化しています。子どもたちは、家庭・地域社会・学校の全体にわたって、我慢を強いられた生活が続き、ライフ・バランスを崩しさまざまな不安や悩みを抱え込んでいます。今後も困難が予想されるコロナ感染への不安な社会生活の下で、どのように子どもたちの生活と発達の権利を守っていくのか、いまこそ知恵を出し合わねばなければなりません。

 政府は、コロナ禍のもとでの経済活動の危機を叫んでいますが、最も深い危機は、自由なコミュニケーションを奪われた人々、特に子どもたちの生活と発達の危機にあります。「3密」を禁止し、「ソーシャル・ディスタンス」に気を使い、「新しい生活様式」を守ることを求めることがもたらしている被害を見つめねばなりません。
 乳幼児は、母親や保育士の口元と表情を見て、相手の感情を読み取り、読み取った感情にのせて「ことば」とその意味を理解し、人間的なコミュニケーションの能力と社会性を獲得していきます。コロナ感染防止のためのマスクで口元が見えず表情が読み取れないということは、人間として発達していくための、もっとも重要な基本的プロセスが奪われているのです。
 年長の子どもたちは、お互いに接触し、じゃれあい、絡まり合って遊び、肌のぬくもりを感じ、感情を共有しながら、「ことば」を使いこなし、人間理解を深めていきます。「3密」の禁止と「ソーシャル・ディスタンス」を厳しく守らせるという生活は、子どもが子どもでなくなること、人間になれないことを意味しています。
若者は、腕を組み肩を組んで歌い、口角泡を飛ばして議論しながら自己を見つめ他者への理解を深めます。恋人同士はパートナーとの親密な語り合いと「濃厚接触」を通じて、人間理解と愛を深めていきます。サークル活動が制限され、オンラインの授業が続く大学生の生活も人間理解と自己変革の機会を狭めています。
 高齢者と子どもは、年寄りが孫を膝に抱いて慈しみの想いを伝え、孫が年寄りの手を引いていたわり、愛しみの感情を覚えていくのです。密接・密着・密集が、ヒトを人間にし、人間性を育み深めていく源泉です。この源泉を断ち切るコロナの壁。それをどう乗り越えるか、答えは簡単には見つかりませんが、「withコロナ時代」を生きる人間の知恵が問われています。
 日本子どもを守る会は、昨年5月に緊急声明「コロナウイルス禍から子どもを守り育てるために―学校の再開にあたって」を発表しました。そこでは8項目にわたって緊急の課題を提起しましたが、特にその第1項目に掲げた「さまざまな取り組みの実施にあたっては、子どもによく説明すると同時に子どもにも相談して、子どもの声を聴き、子どもの参加のもとで一緒に知恵を出しあって取り組むようにすること。」を、今後も重視していきたいと考えています。

 新型コロナウイルスの感染拡大のもとで引きおこされている子どもの生活と発達の危機に正面から向き合い、家庭で、地域で、学校で、子どもたちが生活するあらゆるところで、禁止や我慢を強いることにとどまらずに、小さな工夫と努力を積み重ね、子どもたちに寄り添い、共に歩んでいくことを表明して、2021年、年頭のごあいさつと致します。

2021年1月7日
日本子どもを守る会会長  増山 均

PAGE TOP