1952年5月に発足した私たち日本子どもを守る会は、子どものしあわせの実現と健やかな発達を保障するために、何よりも平和憲法と児童憲章の完全実現を目指し、国連子どもの権利条約の具体化を求めて歩んできました。いま日本社会に必要な進路は、抑止力を高めるための大規模な軍備増強ではなく、日本国憲法9条を生かした平和外交によって、関係各国と対話し緊張を緩和することであり、絶対に「戦争を起こさせない」よう最善・最大の外交努力を尽くし、子どもたちの未来を安心、安全なものとすることです。日本子どもを守る会は、平和憲法にも国際法にも違反し、子どもたちの未来と現在の生活に多大な影響が予想される大軍拡・大増税に断固反対し、子ども・子育て関連予算の増額こそを求めます。
「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」は、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有が抑止力の維持・向上のために不可欠としたうえで、5年以内に防衛力を抜本的に強化しなければならないとする提言(2022年11月22日)をまとめました。この提言では、防衛力強化に必要な予算上の措置を5年間で講じるとし、その財政規模について「NATO加盟国が用いる尺度(GDP比2%)を参考」に、その財源については「幅広い税目による負担が必要である」と述べています。それを受けて政府は、安保関連3文書の改定に向け敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を認めることを閣議決定した(12月16日)と報じられています。
敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有は、平和憲法のもと、相手国に脅威を与える兵器は保有できないとしてきた歴代政府の方針を180度転換させるものであって、憲法にも国際法にも違反して「軍事」対「軍事」の悪循環を作り出し、戦争への道を開くものであり、極めて危険な選択です。「有事」の際には、日米安保条約のもとで日本が米国と一体となって戦争に突入する危険にさらすものであり、国民生活の平和を根底から脅かし子どもたちの未来を破滅に導くものです。
毎年、赤字国債が発行され続け、国債発行残高が1000兆円を超えるという国家財政の中で、防衛力強化のために「GDP比2%」を確保するには、今後5年間で43兆円もの「防衛費」を支出することになり、大増税と同時に、社会保障関係費、子ども・子育て関係費等の削減をもたらします。大軍拡・大増税への道は、国民の生活を押しつぶし、現在と将来にわたって福祉・教育・文化への施策を圧迫・後退させ続けることになり、絶対に認めることはできません。
私たちが求める道は、平和憲法を堅持し、政府機関と民間が一体となった平和外交をあらゆる分野で強めて、絶対に戦争を起こさず、平和な社会と生活を守ることです。また国内・国際社会の平和的発展の担い手を育てるために、福祉・教育・文化に関する予算と、子ども・子育て関連予算を充実させることです。出産に関わる費用、子どもの医療費・保育・教育費への支援をはじめ、保育士・教員の増員も待ったなしの課題であり、戦争準備に財政をつぎ込む国家ではなく平和と福祉・文化を豊かにする社会づくりと子ども・若者の成長・発達としあわせの実現に優先的に財政支援を行うことを強く求めます。
花には太陽を 子どもには平和を!
2022年12月26日
日本子どもを守る会