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2020年 文化会議案内

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実行委員長ごあいさつ
新型コロナのもとで、子どもの生活・権利を守る
第66回子どもを守る文化会議実行委員会実行委員長
増山 均(日本子どもを守る会会長)

 第66回子どもを守る文化会議へのご参加、ご苦労様です。
 「子どもを守る文化会議」は、今から67年前の1953年11月にスタートしました。児童憲章に書き込まれている子どもの生活と発達環境改善の課題と、平和と民主主義を守り発展させる社会の課題とを深く結びつけて実現するために、多くの市民団体、文化団体、教職員組合、労働組合が協力・連帯してこの課題を実現していくことを目指して、半世紀を超えて継続して取り組まれてきました。
 今回66回目を迎える今年の文化会議も、子育て・教育・福祉・文化・司法に関わる諸団体が、春から実行委員会をつくり準備してきました。コロナ問題のなかで子どもの生活と発達の権利をまもろう今年も各団体から、さまざまな子どもを守る課題が提起されていますが、何といっても中心的な課題は、新型コロナウイルスの感染拡大のもとで引きおこされている子どもの生活と発達の危機の問題でしょう。
 突然の休校要請により、子どもたちは3か月にわたって、学びと生活の場と仲間関係を失いました。学校の再開後も3密の回避、「新しい生活様式」の履行、「授業の遅れを取り戻す」ということが、子どもたちの日常生活とライフバランスを崩しています。いまだコロナ問題の収束への見通しが立たない中で、学校・家庭・地域社会の全体にわたって、我慢を強いられた生活が続いています。また社会の経済状況の困難や、親の労働環境の不安定さ、親の在宅時間が長くなったなかで、子どもへの虐待やDVの発生件数が増えるなど、新たな問題が顕在化しています。今後も困難が予想されるコロナ感染への不安な社会生活の下で、どのように子どもたちの生活と発達の権利を守っていくのか、知恵を出し合わねばなければならない時です。子どもを守る文化会議の実行委員会に結集した諸団体は、すでにコロナ問題に関する声明を発表していますが、その一つ、日本子どもを守る会の声明には、次のような課題が掲げられました。

1.さまざまな取り組みの実施にあたっては、子どもによく説明すると同時に子どもにも相談して、子どもの声を聴き、子どもの参加のもとで一緒に知恵を出しあって取り組むようにすること。
2.学校教育の再開にあたっては、学力の遅れの回復ばかりを重視することなく、学校生活への不安を抱えている子どもの心身の状態に十分に配慮すること。また、放課後学童保育に通う子どもの生活とのつながりを配慮し、学童クラブの指導員や保護者との連絡・協力を密にすること。
3.ウイルス感染防止のために取られている学級の少人数化を恒常的なものとし、教職員を増やして、少人数学級を実現すること。
4.ICT環境による学習環境格差が生じないようにすること。授業のオンライン化は慎重に行い、オンラインによる家庭学習の推進は行わないこと。
5.学習・教育面に加え、生活・心身の面でも、子どもの成長・発達が損なわれないよう注意を払うこと。特に、子ども同士の接触が避けがたい遊びやスポーツ、文化・芸術活動についても、工夫をしながらの実現をめざすこと。
6.新たな感染拡大防止のために、マスクや消毒液などを十分に確保し支給すること。感染したり、感染者の近くにいた子どもが、不当な差別を受けることがないようにすること。
7.子どもの虐待が助長されないよう、親に対しても、必要な支援を行うこと。休校している子どもの把握に努めるとともに、登校した子どもには一人ひとりの声を聴き、寄り添い、安心して過ごせるように配慮すること。
8.上記実現のために、関係諸機関の連携協力のもと、既存の施策・施設を柔軟に運用するなどの対応と工夫をすること。

 長期化が予測される、コロナ問題への取り組みに当たって、少人数学級実現に向けた課題は世論の盛り上がりと、多くの自治体の賛同により国の政策も実現に向けて動きだしましたが、まだまだ課題は山積しています。特に、授業の遅れを取り戻すことばかりではなく、遊びやスポーツ、文化・芸術活動の実現と支援を行うことなどは、引き続き市民団体の協力・連帯と行政との協働が求められています。中でも、生活の主人公である子どもたちの声を聴き、子どもたちと共に取り組む課題の位置づけは、児童憲章と子どもの権利条約に規定された子どもの権利を実現していく上で重要なポイントだと思われます。
 学校教育の中に子どもの権利条約を位置づけよう子どもの権利条約は、その第42条に「広報義務」を明記しています。大人のみならず子どもに対しても知らせるべきとしています。しかし、条約制定後30年を過ぎた今なお日本政府はその義務を果たしていません。国連子どもの権利委員会は、これまで4回にわたる日本政府への勧告の中で、権利条約の内容を学校の教育課程の中に位置づけて、きちんと教えることを要求していますが、学校教育の分野では、学習指導要領にも、学校教育法にも、教育基本法にも子どもの権利条約は未だ位置づけられていません。そうした時、児童福祉法は2016年の改正において、第1条に「児童の権利条約の精神にのっとり」と書き込まれました。教育の分野では、子どもの権利の位置づけと視点が弱く、後ろ向きなのに対して、児童福祉の分野では、子どもの権利条約の視点がより積極的に位置づけられています。

 記念講演の講師の前川喜平さん(前文部科学事務次官)は『子ども白書』2019年版のインタビューの中で、「伝統的に、文科省をはじめ日本の学校は子どもを『権利者』としてはみていない。むしろ『無権利者』として見ている」と語っていました。なぜ学校教育の中に子どもの権利条約と子どもの権利の視点が位置づかないのか、今後どうしたらよいのか等について、政府の文部科学行政の中枢にいた前川喜平さんのお話を詳しく聞けることを楽しみにしています。
 
 2021年は児童憲章制定70周年―平和と民主主義と国民主権を子どもたちとともに来年2021年は、平和と民主主義にもとづく日本国憲法に立脚して、戦前の子ども観を大きく転換した児童憲章が制定(1951年5月5日)されてから、70周年の年にあたります。児童憲章は、母子健康手帳にも収録され、日本で生まれるすべての子どもたちを、その誕生の時から社会の担い手・主権者として健やかに育てていくことを国際社会に宣言した貴重な文書です。しかし今、平和と民主主義、国民主権に逆行し、憲法を否定し「学問・研究の自由」「表現の自由」「教育の自由」を侵す政府の行為が問題になっていますが、私たちはこうした行為に断固反対します。

われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるためにこの憲章を定める。
児童は、人として尊ばれる。
児童は、社会の一員として重んぜられる。
児童は、良い環境の中で育てられる。

と高らかに謳いあげられた児童憲章の理念を、子どもの権利条約の規定とつなぎ、私たちの市民運動・国民運動の共通理念として再確認し、政府・自治体に子どもの権利の実現を強く求めていきましょう。

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