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少年の保護指導と更生の機会を最大限に保障する視点から 2021年少年法改正案提案を強く懸念する

 2020年10月、法制審議会は、少年法における少年の適用年齢及び犯罪者処遇に関する刑事法の整備に関して、法務大臣に対し答申を行い、それを受けて、今国会に少年法改正案が提案されようとしています。
 答申は、脳科学などの専門的知見からみて、今日の社会での成熟は20歳代なかばであることや、現行少年法が十分機能していることを認め、少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げることはしませんでした。
 しかし、年齢について十分な議論がなされていなかったにもかかわらず、18、19歳の事件について、(1)事件名によって、教育的・福祉的働きかけを受けられずに、刑罰が必要かだけを検討する範囲を拡大するほか、(2)未だ法律違反には至っていないものの、このまま放置すれば非行を犯してしまうおそれの大きい場合の手当てを止めてしまうことを認め、(3)20歳以上と同じに実名報道を許すなどの提案がなされようとしています。
 (1)については、これまでの手続きで行われていた、個別に非行に至った経緯を十分に調査・鑑別して改善するにはどうすればよいかを明確にした上で、在宅での働きかけや施設での教育を課していたことが行なわれなくなります。わが国の刑罰は、受刑者は刑務所に収容あるいはペナルティとして国にお金を支払うというものが一般的ですが、まだ成長過程にある者については、そのような刑罰よりも、教育的・福祉的な働きかけの方が再犯防止の効果が大きいことが明らかであり、研究者はむしろ20歳以上にも教育的・福祉的な対応をするべきと言っている中で、このような決定をすることは時代に逆行しています。
 (2)については、犯罪をしてしまう可能性の高い者に事前に手当てをすることで、犯罪を未然に防ぐ手続きをなくしてしまうことになります。
 (3)については、教育的・福祉的な働きかけの結果、その者の問題となるところが低減しようとしているときに、見せしめのように実名で報道され、また、資格を取得しようとしても制限がかかるなど、立ち直り支援の機会を失うことになります。被害者ともども、報道による好奇の目からは距離のあるところで、その問題となるところに向き合わせることによる更生の機会を減じてしまいます。
 私たち日本子どもを守る会は、日本国憲法と児童憲章・国連子どもの権利条約を踏まえて、子どもたちの更生の権利と主体的な成長・発達の権利を重視し、民主主義を大切にして「子どもを守る」ための活動をすすめている団体です。
 私たちは、成育歴・家庭環境など、さまざまな背景を持つ子どもたち一人ひとりが、「個人として尊重」され、困難を乗り越えて「社会の一員」として育ちゆくために、個別の事情に適切に対応した教育的・福祉的な働きかけと施設での教育をうけることが重要だと考えています。法律違反という失敗から立ち直り、人生をやり直していく権利が保障されるためには、18、19歳の法律違反には現状どおり現行少年法で対応することが必要だと考え、前述した問題がうかがわれる今般の改正案の提案に強い懸念を持つものです。

2021年3月6日
日本子どもを守る会

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