2017年に国連で採択された「核兵器禁止条約」の批准国が、去る10月25日に50か国に達し、90日後の来年1月22日に発効することが確定しました。この条約の成立は、広島・長崎の被爆者をはじめ「核兵器のない世界」を求める全世界の人々の悲願の結晶です。特に、日本をはじめ各地の被爆者たちの粘り強く確固たる主張が、核兵器と核戦争が人道的にも地球環境にとっても壊滅的な結果をもたらすことを示して国際的な世論を高め、この条約の成立を生み出しました。この条約の成立は、国際社会の平和を求める多くの国々と市民社会の壮大な取り組みの歴史的な到達であり、心から歓迎したいと思います。
日本子どもを守る会は、多くの命が犠牲になった戦争への深い反省の中で作られた平和憲法と児童憲章の精神に立って、子どもたちを戦争から守る平和な社会の実現を目指して約70年にわたる市民運動を続けてきました。初代会長の長田新は、自らも広島で被爆し、被爆した子どもたちの声を集めた『原爆の子』(1951年10月、岩波書店)を編集するとともに、核兵器のない平和な社会の実現のために命を捧げました。『原爆の子』はいまや世界の15ヵ国で翻訳され、核兵器廃絶と世界平和への手引きとして読み継がれています。
日本子どもを守る会は、長田会長の遺志を継ぎ、今日まで一貫して子どもたちが育ちゆく現在と未来社会が平和で安全で人権が守られる社会になることを求めて来ましたので、核兵器禁止条約の成立を全面的に歓迎していますが、世界で唯一の核兵器による戦争被爆国である日本政府が、この条約に背を向け、未だに署名も批准もしていないことに対して、強く抗議するとともに、速やかに批准することを求めます。
”花には太陽を 子どもには平和を”
2020年10月30日
日本子どもを守る会